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四夜連続更新の第三弾です!

また新しい局面に突入する僕の夏は、どこに向かっていくのでしょうか?(笑)


************************

ザザ~、ザザ~ん…



心地よい波が聞こえる。

この悠久なる営みは、やむことがなく、そして、途切れることがない。故に悠久なわけだが、このような大自然の中に溶け合うようにして、自らを置くと、本当に自分がちっぽけで矮小なものに思えてくる。

太陽と、雲、空、海、海鳥、砂浜、珊瑚、風…

およそ、人工的な音など一切ない、完全に調和が取れた静寂を…僕が突然打ち破る。


パタんっ





読み終えた本を閉じて、水滴で濡れるミネラルウォーターのペットボトルと手に取り、ゴクリと流し込んだ。

そして、タバコを銜えたまま、火をつけると、両手を頭の後ろに持ってきてゴロンと後ろに寝転んだ。

天を仰ぐ。

真夏の太陽が、ジリジリと容赦なく、僕の肌を照りつける。

僕がはく煙がゆらゆらと揺れながら、天に昇っていく。

そして、風がピュウッと吹き、白煙は四散した。


…僕は、今、とある離島に来ていた。



あの日マミコと明け方に別れの後、マックで朝食を頬張りながら、そういえばと思いだしたのは、Yが別れ際に「良かったら使って」といってくれた観光ガイドブックだった。

それは、市内の詳細なマップや、観光地、お勧めのレジャースポットなどが網羅されている、割りとコンパクトなものだったので、キャリーバックに仕舞ったっきりになっていたのを、ふと思いだした。

この辺に全く土地勘がない僕にはとても重宝する代物で、僕は今更ながらそれをキャリーバックの奥から引っ張り出し、パラパラと捲りながら目を通した。

そして、ちょうどその頃、この所、口には出さなかったが、思っていたことがあった。

俺…冷静に考えると…この旅…殆ど1人になってないなぁと(笑)←今更かっw

そういう想いと、ガイドブックを見ていて目に入った離島特集。

この二つが相俟って、離島で人里はなれた場所で、1人で過ごしてみるのも悪くないという想いが僕の中に芽生えだした。

そこから、色々と調べてみると、本島から、フェリーで1時間ほど行った場所にある離島には割りと沢山のプライベートビーチにできるような所があるらしかった。

1人きりで、通信手段も、移動手段も無い場所に行くのはやもすると多少危険ではあるかもしれないが…それでも、これでもかというくらい、自分と向き合ってみたい気がした。

なぜなら、僕は逢うべき親友にはもう再会を果たし、出会うべき女性にも既に会ってると思えていたからだ。

僕がまだ出会えていないのは、他の誰でもない、自分なのではないか?そう考え、僕は、スーパーが空くのをまって、食料を買い込むと、離島を目指すことにした。

和気藹々と家族やカップル、女の子の2人組みや3人組などでフェリーは賑わっていた。
皆、陽気な表情を浮かべている。
鬱蒼とした気持ちでいるのは僕くらいのものかもしれない。

太陽は、まばゆいばかりに光、灼熱の陽光を照り付けて、その白さとまるでコントラストになるかのように紺碧の海。

そして、澄み切った空の青。

そんな、鮮やかな色彩に彩られながら、フェリーに乗ること約1時間。

潮風で肌がベットベトになるころ、その島にフェリーは到着した。

観光客は、他のもっと有名な島に行くらしく、この島に下りたのは、僕を含めて数人だった。

これでこそ、一人旅だ。

離島について、タクシーを拾うと、運転手に 「誰もいなそうなビーチまでお願いします」と告げると…「んーあいよー」といって車は走り出した。

そして、そこから約30分ほど走って、連れた来られた場所がここだった。

そこは…本当に誰もいない海だった。

辛うじて…自動販売機はあったが、それ以外には特に何もなかった。人もいなかった。

ビーチを歩く。

テクテクと歩くが、足跡は1つしか残っていない。

なんとなく…そこから見える岩の形が気に入った場所に腰を降ろすと…僕はボンヤリと海を見つめることにした。

容赦なく太陽は照りつける。

太陽の温度を存分に含んだ熱風が、肺の中まで染み渡る。

火照った体を冷ますために、時折、海に入り、熱帯魚と戯れる。

そして、また、陸にあがり、ボーっと海を眺めて時間を過ごした。

やがて、日が暮れ始めた。

帰りのフェリーの時間はすぎてしまっているので、僕はこのままこのビーチにいることにした。

傾く夕日は、一日の終わりを知らせるのには、少し豪華すぎるくらいの、景観を僕に見せてくれた。

「あぁ…世界はこんなにも美しい!!」
本心で、そう感じる夕暮れだった。

そして、それは、ずい分と久しぶりに発した言葉だった。

だが、誰も僕の言葉を受け止める人はいない。

僕の言葉は空虚に茜色の空に舞い、そして、飛散し、跡形もなくなった。

まるで、そこに何もなかったように。僕自身が存在していなかったように。

少しずつ、だが着実に沈む夕日を見送ると…

やがて島に、そして、僕に夜が訪れた。

もう、僕と島の境界線が曖昧になりつつある。

僕は昔からここに島の一部として存在している、何かになってしまったような気もしなくはない。

ただ、そこでどんなにじっと身を潜めて頭をからっぽにしていようとも、僕は飲み物を飲むし、食べ物を食べるし、タバコを吸うし、小便もする。

どこまでいっても僕が人間であることは変わらなかった。

島との同化に飽きた僕は、タバコを銜えて火つける。

目いっぱい煙を吸い込み、肺に入れる。

そして、煙をぷぅ~と吐き出しながら、煙の行方を追いながら夜空を見上げる。

すると…そこには、信じられないくらい、大きくて存在感のある星達が輝いていた。

漆黒の夜空を賑やかに彩る星々の煌き。

…うぉっ

…すごい…。

…すごい。。。

…すごい!!!

漆黒の夜空を月に照らされた厚みのある雲を覆っている様はいかにも壮大で。

その夜空をあまねく星達のその煌びやかに、彩るその様は豪華絢爛で。

僕は、その絶景を、まるで自分のものにしたかのような心持になって、そのまま寝転んだまま星を眺めていた。

そして、優しい月明かりは、じんわりとした疲れを僕に呼び起こし、連れられた眠気が次第に体中に広がってくる。





いつの間にかそのままウトウトし始め、夢なのか?記憶なのか?いまいち判然としない、とても曖昧なくせに、やけにビビッドな情景が、僕の網膜の裏に浮かび上がってきた。

それは、ユリとの…

いや、アミと過ごしたあの夜の光景だ。

しかし、これは別にはじめてのことではない。

あれから、あの夜から目を閉じる度に、何度も何度もその光景を僕は目にしていた。



* 


あの日、アミがウェディングドレを試着させてもらった後、ホテルを出た僕達は、喫茶店に入り、二人ではしゃいで、話をしていた。

アミもすごく喜んでくれていて、ちょっと興奮気味にウェディングの話をしていた。

まだ日は高かったが、それでも少しずつ黄金色にそまりつつある街並はアミと入れる時間が段々と少なくなりつつあることを僕に突きつけてくるようだった。

…アミともう少し一緒に時間を過ごしたい…

僕はわがままにも、そう思い始めていた。

勿論、アミには夜から予定があったのは知っていたのだが…ただ、自分の気持ちを抑えられずに、

僕「今日、この後予定があるんだっけ?」

と白々しくアミに聞いてしまった。

ア「え?うん。友達とご飯たべる約束してたけど…」

僕「そっかぁ…いや、もし空いてるなら、ご飯とか食べにいけたらいいかな・・って思ってさw」

僕はしらばっくれてそんなことを独り言のようにつぶやいた。

…そんな僕の希望的観測が伝わったのか…

ア「…ちょっと待ってて…友達にずらせるか聞いてみる(笑)」

僕「え?いいの!?でも、なんか悪いな…嬉しいけど…ホントに大丈夫??」

ア「うん。だって、週3で会ってるんだもん(笑)大丈夫だよ。てか、あたしも…行きたい。ハルキとご飯…笑」

僕「そっか…( ^ω^ )…」

そういうと、アミは携帯を取り出して、メールをしはじめた。

あっという間に、メールを書き上げ、送信ボタンを押したようだった。そして、

ア「送っちった」

といたずらっぽく舌を出して、笑った。

その愛らしさが、キュンと胸締め付けたが、

僕「ナイス!グッ!! ( ̄ε ̄〃)b」

とおどけて見せた。

そして、しばらくして、アミの携帯から、流行の歌が流れてくると、すぐに携帯を開き、メールを確認すると、指でOKの形をつくって、微笑みかけてくる、アミと『イエーイ!」ハイッタッチをして、二人で笑った。

そうして、アミとのオーバータイムに突入した僕は、Mに連絡を入れた。

この日は『接待で遅くなる』とMに言われたこともあったので、平日にこれ以上迷惑をかけるわけにもいかないと思い、荷物を取りにいき、そのままMの家をおいとますることにした。

電話がつながり、そのことをMに話すと、

M「そっか~分かった。お構いできなくてすまんね」

僕「とんでもない。平日にありがとう」

M「また今度ゆっくりねー。健闘を祈るよ?笑」

と意味深なことをいうM。

僕「あははwわかった。じゃあ、また連絡するよ。こっちくることあったら連絡して」

M「うん。わかった。あっYによろしくねっ」

僕「りょうかい。じゃあまた!」

そういって電話を切った。

アミは僕の様子を見てて、

ア「じゃあ…どうしようか?」と訪ねて来たので、僕は携帯の時計を見て16時過ぎだったので

僕「じゃあ、18時くらいにもっかい待ち合わせしよっか?」

と話をした。

ア「うん。分かった。場所は…?」

僕「じゃあ、あそこらへんは?」

といって、喫茶店から見える駅前の時計の下を指差して僕は言った。

ア「分かった!」

そうして、僕らは一度店を出て、一度別れた。僕はタクシーを捕まえて、Mの家に向かった。

16時半をすこしまわったくらいだ。

まだ待ち合わせまで多少の時間があったので、シャワーを借りることにした。

シャワーを終え、半裸のままで荷造りをする。

服を詰め込みながら、身支度を行なう。

服を着替え、髪を整え、普段夏場はあまり利用しない香水もつけて、身だしなみを整える。

身支度も荷造りを終わり、時計を見ると、まだ30分以上時間に余裕があった。

少しだけ…もの思いに耽る。

アミとのこと。

僕はどうしたい?

旅のスケジュールを確認する。

明日の今頃俺は、Yがいる街に行っているよ?

そんな俺がなぜ、アミと今からこうして会うんだろう?

どうしたいの?

抱きたいだけ?

“今日の”一夜限りの恋のお相手がアミなの?

自分で自分を問い詰める。

答えなんかでない。

当たり前だ。今まで答えを出そうとしたことすらなかったのだから。

じゃあ、なんで今、俺は答えを求めようとしてるんだ?

何故今になって?

…そうだね。違うはずないよね。

一緒今までと一緒だよ。

そう。一緒。

この旅でしてきたように、アミを今夜抱きたいだけ。

そう。それでいいの。

それがいいの。





この時の僕は自分の中の違和感を認めようとはしなかった。





待ち合わせの時間に待ち合わせの場所に到着する。

派手な格好をしているせいもあるだろうが、やはりアミは、美しい。
 
遠目からアミだと思われる女性を見つけて(目が悪い俺w)そう思った。

彼女に近づいていくと、彼女もどうやら僕のことに気づいたみたいだった。

アミの表情が明るくなる。

ア「ひさしぶりぃ~(●^ω^)」

とんでもなく、愛らしい笑顔でアミが話しかける。

僕「だねー。久しぶりすぎて顔忘れちゃって、どこの美女かとおもったよ(笑)」

ア「はいはい。相変わらずチャラいねー。キャッチみたいなこと言わないのw」

僕「(´・ω・`)ショボーン」

ア「あはは!冗談だって!笑」

僕「知ってるけどね♪」

そういって、僕はアミの手を取り、そして、そのまま恋人繋ぎをして僕達は歩き始める。

この街は…昼間は当然灼熱の太陽が照りつけるわけだが、夕方になると、少しだけ過ごしやすくなる。

湿気が少ないのだろうか、夕暮れ時の風が心地よく、お互いにシャワーを浴びた僕らはとても爽やかな気持ちで、2回目のデートを始めることにした。

逢ってからまだ24時間も経過していないのに…3度目に邂逅というちょっと冗談のような頻繁な逢瀬は僕らに、存在していなかった時を埋めるかのように僕らを緊密にさせて、親密にさせていった。

僕はアミが僕の隣でこうして歩いていて、手を繋いでるのがとても自然なことにように錯覚した。

少しだけ差がある目線も、細長い指の感触も、肌の白さも、手の汗のかき方さえも、そしてあまりに甘くてまろやかなアミの香りも僕は全てが心地よく、安心さえ感じるほどに、フィットしている感覚を覚えた。

僕がこうした、勘違であろう思い過ごしをしながら(笑)、5分程歩いた所にいたところに無国籍料理の店があり、アミの希望でそこに入ることにした。

そこは駅近くのビルの地下にあるお店で、入ってみると、いかにも東南アジア風の内装がこらしてあり、木目を基調とした、店舗には、バリ風の大きな風車が天井にあり、亜熱帯植物が、店内に彩を与えている。

葦を編みこんだソファと樹木を磨きこんで作ったテーブル席に案内された。 平日の早い時間だったこともあり、店内はまだあまり混んでいなかったので、壁際の席にすわることができた。

ア「雰囲気いいねー。やっぱり」

僕「だねー。俺、こういうバリ風リゾート好きだよ。センスいいじゃんw」

ア「だろー?w」

僕「だろーw」

ア「なによー?(`・ω・´)キリッ」

僕「いやー別にw。じゃあ、軽く注文しますか!何飲む?」

ア「今日は飲まないつもりだったけど、ちょっとお酒のんじゃおうかなw」

僕「おお、飲んじゃいなよ。俺、ビール。」

ア「じゃあ、あたしもまずはビールで」

店員さんに向かって、

僕「すいません。ビール2つください。あと、すぐできるおつまみいくつか、適当にお願いします」

そう、告げてから、メニューを開く。

アミが好きな食べ物を3つ、僕が好きな食べ物を1つ選んだころにビールが運ばれてきたので、料理の注文をしてから…まずは乾杯をすることにした。

僕「かんぱーい!」

ア「かんぱーい!」

…ゴキュ…ゴキュ…ゴキュ…

僕&ア「ぷはぁぁぁ~!!」

暑かった日の終わりに飲むビールは最高だ(笑)

自然と笑顔がこぼれてしまう。そして、あっという間に、アミはジョッキの半分くらい開けてしまう。

僕「ビール好きなんだ(笑)」

ア「うん。本当は店でもビール飲みたいくらいw」

僕「あはは!でも酔っちゃうでしょ?」

ア「うん。だからアセロラ割りにしたでしょ?笑」

僕「あはは!…あれってお酒入ってないって噂本当ですか(。-`ω´-) ?」

ア「…本当です(内緒だけどw)」

そういって、僕に耳打ちするような仕種をするアミは、愛らしい上にとってもユニークだ。そんな話をしていると、僕よりも先にアミのグラスが空いていたので、追加のビールを注文した。 僕はもう少しゆっくりと…(笑)

そうこうする内に、料理も次第に運ばれてくることになる。

美味しい料理に舌が鼓を打ち始めると、冷えたビールで喉が潤いを増し、笑い声が心を躍らせ、アミの笑顔が胸を高鳴らせた。

僕らの話題は、多岐に及んだ。仕事の話しや、趣味の話、ゲームの話、漫画の話、映画の話、本の話。

心地よい会話のキャッチボールをすることができる相手というのも稀だ。

間違いなくアミはその稀な部類に入るタイプの女性だった。

軽妙に弾むように僕らの会話はよどみなく続いていく。

僕「いや~勇気を出してよかったよ」

ア「なにがぁ~?」

僕「デート誘ったこと。」

ア「なんか慣れてる感じだったじゃーん」

僕「いやいや、なれてないから(笑)」

ア「本当に?皆にしてるんじゃないの~?」

僕「…俺と今日ずっと一緒にいて…まだそんなこと言うわけ?笑」

ア「そっか(笑) 」

僕「割りとちゃんとしてるだろ?笑」

ア「うん。ちゃんとしすぎてて意外だった笑」

僕「なんじゃそら!!w」

ア「もっとチャラい人だと思ってた。なのに…なんか、逆に…(笑)」

僕「逆!?何?逆になによ?」

不意に…会話の流れが変わる。

ここまで近づくことが無かった、互いの好意に関する話題。

ア「逆っていうか…なんでもない(笑)てか、ハルキ飲んでなーい!!!笑」

そして、アミが話題を逸らす。

僕「話し変えるな(笑)…あっじゃあ、シャンディガフで(笑)」

この話題について、僕自身に思い当たることがない訳ではなかった。

アミが何を言わんとしていたのかはなんとなく、察しがついていた。

なぜなら、僕自身も同じような気持ちを抱いていたからだ。

ただ、僕はその話題を深追いせずに、そのまま会話の流れに逆らうことなく、アミに気持ちを確かめることをしなかった。

僕も…その話題になるのを避けるようにして、酒を注文した。

ア「じゃあアタシは、カルーアミルクで」

僕「君もかいっ!笑」

ア「あはは(笑)」

…それでも僕らの雰囲気はとても親密で、手を繋いだり、頭を撫でたり、頬に触れたり、指を絡めたり…互いに触れ合いながら、楽しくて、陽気で、ドキドキする時間を過ごしていた。

僕らはテーブルの上で手を繋いだまま、

ア「ねえ、そういえば…」

そういって、アミは昼に会った時に僕が渡した【日々草】を指して、

ア「なんであの花を選んだの?」

と僕に尋ねた。

僕「あぁ…あれね…」

僕は思いだしながら、アミに言う。

僕「…さっきさ、アミを待ってる時に、『めちゃめちゃ可愛い花がある!!』って思ってさ(笑)そんで聞いたり調べたりしてみたら…今日の誕生花だったの!なんか…買うしかないだろっ!みたいな気分になっちゃって(笑)」

ア「へーそうなんだ(笑)この花の花言葉は?調べてない?」

…ドキっ。ちょっとだけ鼓動が高まる。

僕「調べたよ。」

ア「何ー?」

ちょっと躊躇いながら…僕は

僕「…【甘い思い出】…だってさー。」

と少しぶっきらぼうに、バツが悪そうに答えた。

ア「…ふーん…なんか、儚い花言葉だね…」

僕「…そう?ピッタリじゃない?笑」

ア「…じゃあ、甘い思い出にするつもりなの?笑」



少しだけ間が空く。

僕「んーまだ思い出にするには早すぎるけど、まぁ俺は勿論男だし…アミとそういう思い出作りたいかな?笑…アミは嫌?」

僕は緊張と高鳴る鼓動を押し隠して、少しだけ意地悪な表情で、それでもアミの目をじっとまっすぐに見つめながら、そうい言った。

ドクンッ…ドクンッ…

ア「…嫌じゃないけど…」

僕「…」

思わず、『けど?』と聞き返したくなったが、それでもぐっとこらえた、続きそうなアミの言葉を待った。

ア「けど…嫌じゃ…ない(笑)」

そうやって、言い聞かせるように、何かを理解したように、力なく笑うアミのどこか寂しげな表情をするアミ。

僕「なんだそれ(笑)」

それでも、僕はそういって、おちゃらけながら、微笑みかけて、アミの頭を撫でた。

胸が張り裂けそうなくらい、締め付けられる一方で、僕は激しく欲情していて、既にこの時下腹部は激しく勃起をしていた。

体と心が分離してしまったように、僕は性欲と哀愁に板ばさみになりながら…結局アミにその食指を伸ばそうとしていたのだった。

アミは僕がこうして、壮大な矛盾を抱えることを少しも知らずに、僕に相変わらず優しい笑顔を向けてくれていた。

互いにぎこちない会話が続く。

多分お互いに意識してしまってるのだ。

この後行なわれるであろう営みについて。

交わりについて。

そう思い始めた僕は、切り出す。

僕「そろそろでる2人っきりになれる所…いこうか?」

…決定的な僕の言葉に対して…

ア「…うん。」

言葉少なめに頷くアミ。

アミの切なそうな恥ずかしそうな表情が僕を感化させ、そして欲情させる。

高鳴る鼓動。

充血する下腹部。

アミの肌の白さや、生足のすべらかさが、急にリアルなものに感じられ、とても艶かしい存在として僕の頭を支配し始める。

会計を済ませ、店を出ると、そのまま大通りでタクシーを拾う。

アミを奥に乗せて…運転手さんに

僕「ホテルがあるとこ…お願いします」

とだけ言った。

アミが恥ずかしそうにこっちをみる。

僕も『大丈夫だよ』というニュアンスの目配せをする。

そのままアミは僕にもたれ掛かるように寄り添い、そしてそのままアミの手と手を繋いで、無言でタクシーが目的地に着くのを待つ。窓にはネオンが溶け合いながら、後方に流れていく様子が映し出されている。

その光がとても、遠く、非現実的なものに感じてしまうのは…

この繋いで右手から伝わるアミの温もりや、肩にもたれ掛かった重さ、そして甘い息遣いが、これ異常ないくらい現実的だったからに違いない。

そして、その今の僕にとって全てともいっていい、このリアルを僕はグッと抱き寄せた。

アミは、顔を一度起こすと、僕の目をまっすぐに見つめて、

ア「えへへっ…」

とはにかみながら、また頭を肩に持たれかけさせる。

肩にかかる重み、ぬくもりが増す毎に、アミへの愛おしさが増していく。

アミの手をそっと握り…僕は、いいようのない、感情がせりあがってくることをアミにさえも吐露することができずに1人耐えながら、アミの手を握る手に力を込めた。

ぎゅっ。

アミもぎゅっと僕の手を握り返してきた。



*


僕は思わず、自分の右手を目の前に持ってきて、見つめた。

この手が、あのアミの白くて柔らかい手を握っていたのが幻だったかような錯覚に陥る。

握った手にかいた汗。

絡めた指。

抱き寄せた肩。

『みんな…自分の幻想の産物なのではないか?』

1人きりで、波の音だけが延々と繰り返される浜辺にいるせいか、僕はそんなうすぼんやりとした夢幻の狭間にいるような心持になってさえいた。

心細さ。後悔。劣情。愛おしさ。不安。好き。思い込み。忘れられない。痛み。温もり。孤独。様々な感情や様々な思いがグルグルと空回りしながら宙に舞い、その渦の中に僕自身が巻き込まれてしまったように息苦しくなる。

はぁっ…はぁっ…。

呼吸が乱れる。

思い出す出す度に胸が張り裂けそうになる。

僕は暗澹とした気持ちで空を見上げるが立ち込めてきた雲に隠れてしまって、月も星もみえなくなってしまった。

この夜のように…光明は失われてしまったのだろうか?

一度は握り締めた手を僕は何故はなしてしまったのだろうか?

この手をしっかりと握り返してくれていたのに!!!

過去の呪縛に囚われて、過去の喪失に縛られて。

そうすることが、何よりも餞だと自らで勝手に定理して。

それを君が望んでいるかどうかすら気に留めず!!

自己満足の極致に他ならない。

その結果、なにも生み出さず、何も失わない。

失ったことにすら気が付かないくらいに、損なわれてしまった僕の感情。

大事なものが、この手にあったとしても、

それすら容易に慣習的に手を離してしまう。

ああぁ…アミに会いたい。

会い行きたい。

アミの笑顔をみたい。

アミの笑顔に触れたい。

アイタイ!会いたい。アミに会いたい。



アミには会えるかもしれないけど…

あれ?

あれ?



そして、僕は突然理解する。


あぁぁぁ…

うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…

うううあぁぁぁぁぁああああぁぁぁ…


あ、会いたい。
会いたい。会いたい。会いたい。
アイタイアイタイアイタイ…
でも…

絶対に

君には会えない。



その事を僕は1人きりになって、

誰かに心の底から会いたいと思い、

それでもあえなくて、

でも頑張れば会える可能性が残されてて、

それでもやっぱり会えないから、

無上の孤独に苛まれてて…

そんな状況になって初めてやっと心から理解した。


僕「あぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁうううぅんぅんううううっ・・・』

僕は…1人月明かりに照らされながら、波の満ち引きの音に紛れながら…咽び泣いた。

人知れず。誰に憚ることなく…嗚咽する。

どこか、僕の中で非現実的だったことが、突然、純然たるリアルになった時、僕はやっと泣けたのだった。


…それが君がいる世界と決別をした夜だった。



つづく


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今回も、最後まで読んでくれてありがとう。

もし、差し支えなかったら、ご感想や、ご意見なんかいただけると嬉しいなっ♪

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